フルーツケーキ、クッキーなどに紅茶、コーヒーソフトドリンクのモーニングティーを終えて、いざWeano Gorgeに向かった。
降りてみると両側から切り立った岩が迫ってくる。厚さ5-10センチくらいの板状の頁岩が殆ど平らに成層している。25億年という長い年月が割れた時のエッジの鋭さに現れている。崖の縁をへばりつくようにして前進する。時として手で掴む場所も足を置く場所も見当たらないことがあるが、アンドリューが、
「ここを掴んで、こっちに右足を乗っけて」
と細かい指示を出して切り抜けていく。
やがてちょっと広い所にでた。でも前方は切り立った狭い、一メートルの幅もない谷になっている。
「ここから先はみて分かるように狭い谷になります。うまく歩ける所ではありません。ここは皆スパイダーマンのようになって、両側の壁に両手と両足を突いて体を浮かせたまま前進します。足を滑らせると大変なのでブーツを脱いで裸足で行きます。ブーツはここへ置いていきます。スパイダーマンの姿を写真にとって欲しい人は私にカメラを預けてください」
と、アンドリューが指示を出した。
皆、ブーツを脱ぐとアンドリューの後に続いてスパイダーマンになった。幅が狭い所や足を置く段があるところは良いが、幅が広くなってくると両手、両足が開きっぱなしになってくる。これは苦しい。開き切ったコンパスのような態勢で次の足場に足を伸ばさなければならない。かれこれ10メートルくらいそんなことを続けただろうか、ようやく川底に足を下ろすことが出来た。つまり足が流れの中に入った。恐ろしく冷たい、まるで氷水のように感じた。
目の前は崖のようになっていて、川水は滝となって流れ落ちている。そしてその先には透明度抜群のプールがあった。
急斜面というより、滝を下るのだがそこにはこのプールの名前(Handrail Pool)の元になったと思われるHandrail(手すり)が用意されていた。手すりを伝っている部分はいわば急斜面だったが、その先はほぼ垂直な壁になっていてそこにはロープが一本垂れ下がっている。約30センチに一個の結び目を頼りにロープを握り、足を思い切り踏ん張りながらプールレベルまで降りた。
切り立った円形の岩壁に囲まれた空間はまるで音楽ホールのようだ。
「泳いでみませんか」
とのアンドリューの声にも誰も応じない。水の冷たさを知ってしまっているから足先をつけようとするものもいない。
セイジを含むに三人が壁沿いに反対側まで進んだ。そのうちにセイジが対岸の7-8メートルの高さにあるテラス状の部分に上った。
それを見た人達が一様に、
「ジャンプ、ジャンプ」
と、はやしたてた。
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